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残留


抹茶を輸出するとき、輸出相手国が設定した残留農薬基準値(MRL)によって、日本国内の基準は満たしていても、輸出できない抹茶が半数以上あることがあります。


EUのMRLは実質的な輸入規制であり、著しく低く設定されているため、有機栽培(無農薬・無肥料)抹茶が使われますが、有機認証を得るためには時間と費用がかかり、それが抹茶の価格に上乗せされています。また、茶は肥料をたくさん入れることで甘みが増しますので、窒素肥料が少ないと美味しくなりません。


粉末状の茶には、石臼で挽かれてお抹茶としていただくものと、機械で粉砕し製菓用や粉茶になるものの2種類がありますが、一括りに「抹茶」と呼ばれています。


確かに抹茶の輸出量は増加していますが、ブエノスアイレス市内で売られていたのは、日本では回転寿司屋さんでお茶に使う粉茶でした。この粉茶を点てて「これが日本のお抹茶です」と言うことには、とても違和感を覚えます。


農水省は、輸出重点品である抹茶の輸出促進等による需要の拡大のために、輸出相手国のMRLが課題であることを認識していて、関連部門は「残留しないような農薬を選び、残留しないような撒き方」を構築しました(2016)が、それを採用した商品は未だありません。


商品化するのは茶舗です。茶舗が自園や契約農家さんから茶葉を買い取るのですが、「残留しない農薬と撒き方」は採用されていません。


日本の物価は世界的にもトップクラスです。抹茶を輸出し、海外における流通・販売を促進するためには、「残留農薬量」、「味」、「価格」の3つを同時にクリアしなければならないでしょう。農水省および関連部門、茶舗、栽培農家が連携すれば、日本国内での消費量および生産量の減少を補填する以上の成果を、海外市場に期待できると思います。




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